暇を持て余す妖精たちの
自席で書類仕事をしているギアーの元へ、つかつかと一直線に迫る。受け持つ学年も科目も違うこともあり、就業中にパルティナがギアーに接近することは少ない。険しい表情でやってきたパルティナを、ギアーは物珍しげに見上げた。 「どうしました、これから一…
当初こそ一年後の未来に一抹の不安と恐れを抱えていたパルティナだったが、それは瞬く間に薄れていった。セレナーデにとっては決して初の経験ではないものの、教師という職の業務量と慌ただしさにより「セレナーデ」の思考は日々「パルティナ」の仕事に押し…
スズライトは古い伝統を重んじる国である。他国ではとうの昔に廃れた魔術の力を現在も行使し、その源となる自然を守り、そこに棲まう妖精の加護を信じている。 元来、魔術とは人間に制御できるものではなかった。無秩序で、定められた法則がなかった。その理…
かつて世界は一度壊れた。 ある一つの文明が滅び、人の世は根底から覆された。 だが世界は、その理を作り変えられて息を吹き返した。 新たな理を生み出した者たちは、ある者は始祖の大魔導士として後世へ長く語り継がれ、ある者たちは始まりの三賢者として星…